○○彼氏。【完】

そして、その日の放課後。


朝の天気予報の通り、午後からは大雨となっていた。


週番だった俺は日誌を書き終え玄関に向かうと、今日二度目となるあの女の姿。


様子からして、傘を持ってきてないんだろう。


外を眺めていたかと思うと、そのまま土砂降りの中を帰ろうとする。


「傘、持ってないのか?」


───自分でも驚くくらい、無意識に声をかけていた。


そんな俺の声にパッと振り返った女。


「あ、いや、はい、まぁそんな感じです」


そう、苦笑いを浮かべながら答えた。


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