わたしの魔法使い
「無理しなくていい」

颯太さんはそう言ってくれた。

私の事、「信じるよ」って力強く言ってくれた。



それが嬉しかった。


お互いに知らないことの方が多い。

だけど、それでも私を信じてくれる。

それが本当に嬉しかった。




「…――朱里ちゃん?」



颯太さんの声だけが聞こえる。

だけど、俯いた私は顔を上げることができない。

だって、今顔をあげたらきっと泣くから。


「泣いたら負け。」今までそう頑張ってきた。


だから、顔をあげることはできない。


握りしめた手に力を入れる。

泣いたら負け、泣いたら負け、泣いたら負け……


ほら、もう大丈夫。3回のおまじないはよく効くから。

だからもう大丈夫……。


だけど、優しい颯太さんの声が響く。


「泣きたいときは泣いていいんだよ」って……


その言葉が胸に響く。


「泣いていい……の?」

「泣いていいんだよ」

「…ふっ……ふぇ……」




颯太さんの言葉で、涙腺が壊れる。

止めどなく溢れる涙は、我慢していた時間と同じくらい長く、私の頬を濡らし続けた。


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