わたしの魔法使い
こういう時、どうしたらいいんだろう?

恋愛経験の乏しい僕には、どうしていいかわからない。

振り返りたいけど、泣いた顔を見られたくないし…

でも、このまま洗面所に行くのも…



あれこれ考えていたら、後ろから


「出かけてくるね~」


と、元気な朱里の声が聞こえた。


「出かけるの?」

「そう。見つかっちゃったものはしょうがないし。」

「でも、見張ってる人、いるよ?」

「う~ん。…裏から出てけば平気でしょ?」



“平気でしょ?”って…

朱里には恐怖心とかってないのかな?


…ないだろうな…

1か月一緒にいてわかったこと。

“朱里は超ポジティブで好奇心旺盛”ってこと。

そうでなければ、どこの誰だかわからない僕と、1か月も一緒に暮らせないよね。




「出かけるって、どこに?」

「それはナイショ!ちょっと時間がかかるけど、心配しないでね」


そう言うと、着替えを持って洗面所へ入って行った。

ナイショって…

いったい何を考えてるんだろう?



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