わたしの魔法使い
1週間経った今も、不思議でしょうがない。

あの時、キスするチャンスだったのに…

なんだか急に恥ずかしくなって、体が動かなくなっちゃって、朱里の腰に腕をまわすことが精一杯だった。


その事でいまだに朱里に笑われてる。

“真っ赤だったねー”って。


僕だってね、キスしたいと思うよ。

思うけど、ゴン太の視線を感じちゃったりして、なかなかできないんだよ。


ゴン太のせいにすると、ゴン太が怒りそうで言えないけど……


それに、一度チャンスを逃すとかえって意識しちゃって、余計にやりづらくなる。




……というわけで、いまだにキス、してません。


それに、僕たちの関係にも変化はありません……



「さみしー!」

「ん?」

「何でもないっ!独り言!」

「ふーん……」


あっ!そうか!


ゴン太が気になるなら、ゴン太のいないところに行けばいいんだ!

そんな簡単なことも思い付かなかった!

……別に、キスが目的な訳じゃないんだけど……

なんて自分に言い訳してる。



「…――颯太。百面相になってるよ。」

パソコンに向かっているとばかり思っていた朱里は、いつの間にか僕の顔を見ていた。



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