わたしの魔法使い
執事というより、王子様のような顔をした颯太は、優雅な仕草で運転席に乗り込んできた。

だけど……

その長い手足が窮屈そうに見える。


「狭くないの?」

「ん。慣れてるし、どうしてもこれに乗りたかったんだ。」




い、いやー!

そんなにキラキラした目でこっち見ちゃいやー!

小さな子供がお気に入りのおもちゃ見せるみたいな顔しちゃ、ダメー!


そんな顔されちゃったら、もっと好きになっちゃう!

だから


「……だめ」

「何がダメなの?」

「……キラキラした目とか、子供みたいな顔とか……」

「そんな顔してた?」

「してた…スッゴいキラキラした目、してたの!」

「そうか……?だって、嬉しいんだもん。朱里を乗せること、できて……」


だから……

そんな顔、反則なんだって。

普通に綺麗な顔してるのに、キラキラした子供みたいな目されたら、もっと好きになっちゃうじゃない……


なんでこんなに綺麗なの!

なんでこんなに可愛いの!

なんでこんなに優しいの!


颯太のこと、好きすぎて胸が苦しくなっちゃうよ……


「……朱里。」

「な、何?」

「百面相」




……。

あーあ。今日の颯太は格好良くて、優しくて、胸がキュンってなって、苦しくなるくらいだったのに!

百面相ってなにさっ!



< 170 / 303 >

この作品をシェア

pagetop