わたしの魔法使い
颯太が出ていって一週間。

もう何もする気が起きない。

辛うじてゴン太のご飯は用意できるけど、自分のご飯はどうでもよくなってる。

ただ颯太を思って泣いて、泣きつかれたらそのまま眠る。

そんな毎日。


思い出すのは、颯太の笑顔ばかり。

左頬にキュッとできるえくぼが、綺麗な顔を可愛く見せてた。

洗濯してるときも、料理してるときもいつも楽しそうで、子供みたいにクルクル表情を変えてた。



そんな颯太が好きだった。


「初恋……だったのに……」


そう呟いて、また涙が零れた。

颯太に会いたい……

“出ていって”

そう言ったのは私。

だけど、今は颯太に会いたい。

戻ってきて欲しい……





ピンポーン





静かな部屋に、インターホンの音が響く。



颯太が帰ってきたのかも?!

私はベッドから飛び起きると、モニターへと急いだ。

颯太が……

颯太が帰ってきた。

よかった……

颯太が帰ってきた。



嬉しくて、ドキドキしながらモニターを覗くと、そこには



「おじいちゃん……」


笑顔の祖父が映っていた。




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