わたしの魔法使い
何で?

おじいちゃんはこの場所にいること、何で知っているの?

誰も知らないはずなのに……

『朱里。開けてくれないか?話がある』

私のパニックをよそに、モニターの中のおじいちゃんは優しく微笑んでる。


「……今、開ける」


それだけ言うと、オートロックの解錠ボタンを押した。

頭のなかは“?”で一杯。

何で?

颯太が出ていって、代わりにおじいちゃん?

あー!わかんない!


しばらくすると、今度は玄関のチャイムが鳴った。


「どう……ぞ…………」


開けた玄関の前に、おじいちゃんともう一人、スーツ姿の父が立っていた。


「な……何で…………?」

「話があると言ったろう?……大丈夫。」

「でも……」

「大丈夫。おじいちゃんがいるから」


おじいちゃんは最後に会ったときと同じように微笑んでいた。

大丈夫……な訳ないじゃん。

この人のしてきたこと考えたら、絶対に大丈夫とは言い切れないよ。


久しぶりに会う父を見て、体が震える。

恐怖心が蘇る。

怖い……今でもそう感じる。

そんな私の気持ちを感じ取ったのか、部屋の奥からゴン太が吠えながら出てきた。



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