わたしの魔法使い
颯太の行方は、誰も知らなかった。

おじいちゃんでさえ……

何度も尋ねたけど、誰一人颯太の行方を知っている人はいなかった。


「…――ゴン太、颯太はどこに行っちゃったんだろうね?」

「ぁうーん?」


颯太がいなくなって半年。
颯太からの手紙を受け取った直後は、呼吸することも忘れるほど何も手につかなかったけど、季節は桜が咲く季節になり、私も颯太の不在に慣れ始めていた。




おじいちゃんには“戻ってこい”と何度も言われたけど、どうしても颯太のいたこの部屋を出ることができなかった。


颯太が戻ってくるかはわからない。

だけど、ここを出てしまったら、颯太との繋がりが途切れてしまう。

そう思うと、ここを出ることはできなかった。



颯太はどこへ行ったんだろう?

きっと、あの人懐こい笑顔で、誰かに魔法をかけてるのかな?

私にかけてくれたように。


颯太は私に、笑顔だけでなく、小説を書く力も与えてくれた。

半年が経ち、やっといないことに慣れた私が最初にしたこと。

それは小説を完成させることだった。

颯太がそばにいてくれていたときから少しずつ書き出していたお話は、幸せな想い出の恋のお話。

何度離れても、必ず戻る彼を待ち続ける、そんな女の子のお話。


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