わたしの魔法使い
言っちゃいけないことを言っちゃった……

その自覚はある。

颯太を傷つけた……

その自覚もある。

もう……戻ってこないかもしれない……


その覚悟は……できてない……



「…どうしょう…………」



颯太の過去を気にしてないと言えば嘘になる。

すごい気になるし、できるなら消ゴムで消してあげたい。


戻ってきてからずっと、そう思ってた。

でも、絶対に言っちゃいけないことだって、わかってた。

わかってたはずなのに……

田中さんの事でヤキモチ焼いてることくらい、わかってた。

それなのに……



颯太のあんなに傷ついた顔、初めて見た。

言い過ぎたって、謝ることも忘れてしまうくらい、傷ついた顔してた。



「ゴン太……どうしよう?颯太、また出てっちゃうかも……?!」


涙が次々溢れ出す。

颯太が好きなのに……

傷つけちゃった……



私、どうしたらいいの?

一緒にいたいのに……

謝りたいのに……

あんな風に傷つけちゃって……


「……颯太……………」


ベッドで横になるゴン太に頭をのせ、ただ泣くことしかできない。

手紙を残して出ていった、あの時みたいに……




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