わたしの魔法使い
僕、女の子じゃないけど

女の子じゃないけど…

こんな状況…


普通じゃなーい!


モゾモゾと動く僕の気配を感じたのか、握られていた右手が自由になった。


「…――ん…」


掠れた声が響く。

その声に弾かれるように、目の前の毛むくじゃらが退いた。



僕の目に映ったのは、うっすらと目を開けた朱里さんだった。


「…気がついたんですね…」


朱里さんはゆっくりと体を起こすと、僕の方に腕を伸ばした。

細くて白い指が僕のおでこに触れる。




ペリペリッ



小さく鋭い痛みが走る。


「なっ!」

「熱、下がったみたいですね」



朱里さんの顔は安堵の微笑みで、その手には乾いた冷却シートが挟まれていた。

「熱?」

僕は熱を出したの?

あぁ、だからここに寝かされ…って…


「朱里さん家!?」

「覚えてないんですか?!」

「…はい…」


力なく笑う僕に、朱里さんはがっくりとうなだれた。


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