わたしの魔法使い
甘く、優しいキスのあと、二人で部屋に戻ったはいいけど……


「片付いてない…」


片付いていないテーブルを見て、颯太が盛大なため息をついた。


「だって……」


ゴニョゴニョと言い訳めいた事を言ったけど、颯太の怒った顔が目にはいる。


こ……こわい……

颯太の目が怖いです……


確かにね、“流しに入れて”って言葉は聞いたの。

でも、あんなことがあったじゃない!

だから……



黙々と食器を流しに入れる颯太の後ろ姿を見ていたら、なんだかお母さんみたいに見えちゃって……

ついつい


「お母さんみたい……」


って言っちゃった。

そしたら急に振り返って


「ママと呼んでちょうだい!」


だって!


もうママでもパパでもどっちでもいいや!

颯太とこうやって笑って、ずっと一緒にいれたら……

毎日たくさん笑って、たくさんケンカして……

お互いおじいちゃんとおばあちゃんになるまで、ずっと一緒にいられたら、それでいい。


「颯太!幸せになろうね!」

「おうっ!」






雨の日に現れた私の魔法使いは、茶色の髪と茶色の瞳をした、左えくぼの可愛い人でした。



辛いことも、苦しいこともたくさんあったけど、生涯解ける事のない笑顔の魔法をかけてくれた。

世界中でたった一人の、私の魔法使い……



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