わたしの魔法使い
怖いよね…


怖がらせちゃったよね…



“女の子みたい”っていわれるけど、やっぱり男だし…

それに、探されるのを怖がってたから……





「あ、あの…」


その先の言葉が見つからない。

こういう時、何て言えばいいんだろう?

何て……




そんな僕の気持ちを知らず、小さな肩を震わせていた朱里さんは、耐えきれないように吹き出した。





「…――ぷっ、あははは!」

「…………」




小さな肩を震わせて泣いていると思っていた朱里さんは、これ以上面白いことはない!と言わんばかりに大笑いしている。

お腹を抱え、目には涙まで浮かべて、本当に愉快そうに。





「もうねー、突っ込みどころ満載!魔法使いって何?何でゴン太と取っ組み合い?もうだめ!お腹痛い!」


怖がるどころか、この状況を楽しんでる!?


「…あの……」

「もーダメー!おかしいー!」



笑いの発作は、しばらく続いた。



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