扉の向こう
「あっじゃあ唯花1人で帰れるから」
「なに言ってんの?送るよ。渡部さんに怒られるし」
「いや、でも‥‥」
正直2人でいることは辛かった。
「俺が元カレだからって気にしてる?」
「うん‥‥」
将之と付き合っていたのは夏。
そして秋がくる前に別れていた。
百人一首は町内会のこども会の冬限定の行事だからしばらく会わないでいられた。
でもいざ会うと、辛い。
「ごめん。でもやっぱ心配だから送らせて?おまえんち町内会のはじだからこっから10分くらいかかるし」
「ならなおさらいいよ。唯花もう将之の受験の邪魔したくないから!ばいばい」
そう言い私は走って将之の前から逃げるように帰った。