ハナミズキ
「…実は―…」
私は、遊李さんに綾月ちゃんのことを全て話した。
とは言っても、私は記憶喪失。
昔のことなど覚えているはずもなかった。
だから、綾月ちゃん自身のことはあまり話せなかった。
…………………………………………………………
そして、ようやく話し終えると…
「…恋華。その早坂さんって子、病院に連れてこれるか?」
遊李さんはまじめな顔をしながらそう言った。
「病院……??」
「あぁ、もしかしたら…相当ヤバいことしとるかもしれん。念のため…な?」
「…わかりました…。言ってみますね…」
私が、重く頷くと遊李さんは、私の頭を撫でながら『安心しぃや。まだそう決まった訳ちゃうから』と、言ってくれた。
…遊李さんには、人を安心させる力があると思う。
だって、現に私が遊李さんの言葉で、すごく安心してるから……。