トーカタウンの子供たち
そんなこんなで1年。アーサーさんが僕たちのことを覚えていてくれて、招待状が届いたのだ!第5回ラビィアスロンの!

同封された手紙には現在の近況も簡単に綴られていた。アーサーさんはメーカーのテストドライバーになり、ニコさんは東花大学の工学部、リンさんは農学部に入学したらしい。ラルフさんは専門学校でネットワーク管理の勉強をしているんだそうだ。

でもね、なんだかハジメっちだけはニコさんとメールのやり取りをしてたらしい。それは後で知ったことだけれども。ニコさんもハジメっちも眼鏡をしていて頭が良くて、やっぱりなんか似てるんだよなぁ。

「カズちゃん、そろそろ始まる?」
タロちゃんがポップコーンをもぐもぐしながら席に戻ってきた。
「タロちゃんまた買ってきたの?」
「カズ、俺トイレっ、緊張してダメだ」
ハジメっちもタロちゃんも落ち着きがない。
「ちょっと~あんたたちウロウロしすぎ!」
ミサキが睨んでくる。

「カズマ君は大丈夫?」
サヤカちゃんが笑っている。この子は苦手だ。大人びていて、いつも笑顔で、話す時はじっと目を見つめてくる。そばにいると緊張する。
「ぼ、僕もトイレっ」

スタジアムの階段を駆け上がる。開始までにはまだ少し時間がある。
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