アンダーサイカ


お母さんに話を聞かせてもらってると、意識せずに稔兄ちゃんと比べられてる節がいくつかある。


でも、そのことで劣等感を抱えて落ち込むほど私は繊細にできてない。図太いから。

むしろ稔兄ちゃんの話を聞くたび思う。

“私のお兄ちゃんはなんて凄いんだろう”って。



「………。」


もし稔兄ちゃんが生きてたら、勉強のわかんないところとか、運動会の練習とか…付き合ってもらえたのに。

優しくて、頼りになって、思いやりのあるお兄ちゃん…。



死んでしまった人にいくら会いたいと願っても無駄なのは、…本当は分かってるんだけど。




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