アンダーサイカ
「…だ、大丈夫だって…!
豊花はパパとママに、“お兄ちゃんは良い子だー”って教えられたんでしょ?
なら、パパとママを信じればいいじゃん。あんな変な人の話、聞くことないって。」
「潤ちゃん………。」
にへっと笑ってみせる潤ちゃん。
変な顔…。でも、今の私にはそれが何よりも頼もしい救いの手に見えた。
つられて、私もへらっと笑う。
「…うん。
ありがと、潤ちゃん…。」
「ぷっ…………。豊花なにそれ、変な顔~。」
「…うふふっ、潤ちゃんだってヘンな顔してたよ。」
―――気にすることない。
そう自分に言い聞かせるけど、さっきのお兄さんたちに言われた言葉は、油汚れみたいに私の耳にこびりついたままだった。