アンダーサイカ


男の人……ヨシヤは、ふんふんと二、三度頷き、

突然くるりと後ろを向いて、


――バタンッ


入り口である、木製の引き戸を閉めてしまった。



「なっ!!」


どうして閉める必要があるんだろう、っていう驚きと、
ここの入り口はシャッターじゃなかったっけ?っていう二重の驚き。


戸が閉まっても店の中の明かりがある。

けど、


「きゃっ…!!」


その明かりを遮り、私に覆いかぶさるように立っているヨシヤに、凝視された。


「ひっ…。」


彼の顔は笑ってる。

でも目は、笑ってない………。



< 31 / 506 >

この作品をシェア

pagetop