アンダーサイカ


「…薬屋。まさかとは思うが、ユタカは無事だろうな?」


警備員さんが神妙な顔つきになります。

そうでした。この人は豊花ちゃんを気にかけていた…。安否を知りたがるのも当然です。


なぜか僕は胸を張って答えました。


「ええ、大丈夫ですよ。
居間で待っているよう伝えましたから。

豊花ちゃんは賢い子なんです。
こんな状況の中、僕の言い付けを破って外へ出るなんて有り得ませんよ。」


そう。有り得ません。
“向こう”が意図的に接触を試みない限りは。



…しかし念のため。
僕は警備員さんを連れ居間に向かいます。

そこで大人しく待っていてくれる豊花ちゃんの姿を思い浮かべながら。



「豊花ちゃん。」



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