アンダーサイカ



『……なんでだよ、なんで……、今更、稔のことを思い出さなきゃなんないんだよ…ッ!?』

私は二人組の…稔兄ちゃんを知る男の人に殴られそうになった。

でも不思議なことに、振りかぶったお兄さんは、


『…おい!なあっ!どうしたってんだよ、おい…!』


石みたいに固まって動かなくなってしまった。

見えない何かに押さえ付けられたみたいに。



「…あれ…は、稔兄ちゃんがやったこと……?」



ずっと傍にいたと言う稔兄ちゃん。商売人は霊魂と同じ存在。ってことは………、



「…そうだよ。
ボクは今までずっと豊花に“取り憑いていた”んだ。

豊花が初めてアンダーサイカに足を踏み入れた日からね…。」



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