アンダーサイカ
語り終えた時、ヨシヤはとても満ち足りた顔をしてた。
うっすら浮かべた笑みも自嘲なんかじゃなくて、この先の行く末すら見通したみたいで。
「…死にたくなかった。父さんや母さんの真っすぐな愛情を受けたかった。
僕は誰かから愛されたかった…。
アンダーサイカでの長い長い孤独の中で、僕はいつ壊れてもおかしくなかったんです。
……今の、ミノルくんのように。」
焼け爛れた腕を押さえつけて、稔兄ちゃんは強く強くヨシヤを睨む。
その姿はとても恐ろしい。
稔兄ちゃんの、人の心が壊れたことを象徴しているようで、見ているだけで涙が出そうになった。
それはヨシヤも同じ。
悲しげに稔兄ちゃんを見つめている。憐れんでいることは、すぐに分かった。