アンダーサイカ


「アレでいいじゃん。
商店街のさ、ケーキ屋の看板猫のジロキチ特集とか。」


「それは優太(ゆうた)くんチームがやってたと思うよ。」


「え…。」


すると拓くんが露骨に驚いた顔をした。


「なんだよおぉぉ…。
もうこの町に調べられるモンなんて無いんじゃねえ?

どっかのグループとカブるのも何かシャクだし……くそぉ、モヤモヤするなぁ。
アイデアよ出て来いぃぃ…。」


「あら?拓哉、今日はえらく真面目ね。」


確かに。いつもの拓くんなら「何でもいい」とか「面倒臭い」とか言いそうなものなのに。

でもどうやら拓くんには、拓くんなりの事情があるようだった。



「…夏休み前に優太に聞いたんだけどさ、あいつ、卒業したら遠い中学行くらしいんだよな。」


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