アンダーサイカ
――ピリリリリ…
――ピリリリリ…
携帯電話に着信があった。
「―――もしもし?
あぁ、父さん。
おはようございます。」
電話の相手は、離れた実家に住む父だ。
「ええ、こちらの生活にもだいぶ慣れましたよ。
来月には一度帰省しますから、そのつもりで。」
艶やかな黒髪を揺らし、笑顔で近況報告をする。
父は昔、立派な警察官だった。
“彼”は、そんな父を尊敬して止まないのだ。
時に厳しく、そして時に愛情を持って接してくれる家族…。
「はい、分かっています。
“罪を犯さず、誰に対しても誠実に、義を持って接する”。
父さんの教えは、ちゃんと守ってますよ。」
そんな家族が、彼…義也(ヨシヤ)の誇りだった。