アンダーサイカ
誰が、どうやって…?
方法は分からない。
でも心当たりのある人物と言ったら、あの張り付いた笑顔と白衣姿の男しか考えられない。
―――ヨシヤ……!
「……わ、分かった…。
ありがとう。朝早くごめん。」
《気にすんな。
じゃあおれ二度寝するわ。おやすみぃ…。》
電話が切れる。
でも私は受話器を握ったまま、また1分くらい固まってしまった。
「………なにこれ…。」
消えていた。
アンダーサイカの……“あの世界”の存在が。
―――夢…?
でも、私は確かに見た。
ひしめき合う店。恐ろしいオバケたち。
口の中にじんわり残る苦みも、気のせいなんかじゃない。