ヤンデレパーティー


スプガウスの瞳が何を捉えたなど計ることはできないが、イリイアに構う暇はなくなったと、その体を通り過ぎた。


最後まできっちり面倒を見たかったが、それをせずともイリイアはまた自分の前に立ってくれるだろうと、何の心配もなかった。


生かすと決めたんだ。そうでなくては困るし、イリイアとて簡単に死ぬわけがない。


「それでは。また会う日まで、ごきげんよう」


扉が閉まる間際の声。ふざけているとしか思えない、そんな親しい友人に向けるような別れの挨拶に。


「っ、ぅ……」


イリイアは咽ぶ声を木霊せるしかなかった。


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