ヤンデレパーティー


えずく一打は奇襲さえも打破するものだった。先手のフォークは女の首横を掠め、長い黒髪を触れるだけの不発に終わる。


「やあねぇ、弱いからって奇襲して、それで負けるだなんて。救いようがないわぁ」


「くっ……」


精神攻撃もそこそこされ、一歩引いた十束。何が喉仏に当てられたのかと思えば――木の棒。


先端が丸まり、薄く、アタリと書かれた、アイスの棒だった。


「アイスの棒ごときに……っ」


負けてしまうとはと膝をつきたい気分だった。


ふざけている、ふざけすぎている。故にそんなおふざけに負けた自身が情けなく、仮にもアイスの棒が刃物だったとすれば致命傷になっていた。


手加減されたのかと、強者の優越を肌から感じて喉元がむずむずと何とも言えない不快感に襲われた。


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