ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
「はあ?」


 まさか、お父さんからそんな事を頼まれるとは思ってもみなかったので、私は露骨に怪訝な顔をしてしまった。


「頼むよ。朝はいつもすれ違いだし……」


 確かに。もう、しょうがないなあ……


「わかった。じゃあ、いいって言うまであっちを向いてて?」


「お、おお」


 私は化粧台の前に座り、急いでメイクを始めた。と言っても、髪を輪ゴムで縛り、眉毛を書いて口紅を塗るだけだから、あっという間だけど。


 最後に眼鏡を掛け、お父さんの方を向いた。お父さんは、私の言いつけ通り壁の方を向き、アイドルのポスターなんかを見ていた。


「出来たから、こっち向いていいよ」


「お。ずいぶん早いんだな」


 そう言ってゆっくり振り向いたお父さんは、私を見るなり目を丸くした。


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