ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
「当たり前だろ?」


 どうやら本物らしい中野君は、そう言って私の頭に乗せた手で、私の髪をクシャクシャと掻き混ぜた。そして私の前の、つまりちいちゃんの席の椅子に、こっち向きでストンと座った。


 そして、私の顔を覗き込むなり、


「うっわあ、綺麗な顔が台なしだな?」


 と言った。


「見ないでよ!」


 私は中野君の手から彼のハンカチを引ったくり、それを顔に当てた。そうやって怒った振りをしたけど、内心では『綺麗な顔』って言われた事が、ちょっと嬉しかったりして……


「強く擦ると赤くなっちゃうぞ?」


「わかってます」


 私が中野君のハンカチでそっと顔を拭いていたら、中野君は私の乱れた髪を、優しい手つきで撫で付けてくれた。

 ああ、なんか、気持ちいいかも。元々、彼に乱された髪なんだけども。


 それにしても、恥ずかしいところを見られちゃったなあ……


 いやいや、問題はそこじゃないでしょ!?


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