ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
「もう、帰らないとな? 彩花が風邪引いたら大変だし……」


「うん……キリがないもんね?」


「じゃ、帰るわ。おやすみ」


「おやすみなさい」


 和也は、名残惜しそうに私に背中を向けると、ゆっくりと歩きだした。


 そんな彼の後ろ姿を見ていたら、和也は何歩も歩かない内に私を振り向き、ニコッと笑って手を振った。


 私も元気よく手を振り、


「今度は私が行く番ね?」


 と言った。特に深い考えもなく。


 すぐに“おお、そうだな”って返事が返って来ると思ったら、そうでもなかった。


 和也から返事はなく、振っていた手は、そのままの形で止まっていた。まるで時間が止まったみたいに。


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