ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜
「彩花、そうなの?」


「それは……」


 お母さんに“違うよ”と返事しようと思ったんだけど、私を見るお父さんの目が、私に何かを告げてるような気がして口ごもった。


 あ、わかったかも。お父さんが目で何て言っているのか。


 “そういう事にしておきなさい”でしょ?


 私は心の中でお父さんに感謝しつつ、


「そういう狙いが、なきにしもあらず、かなあ……」


「なんだあ。だったら早くそれを言いなさいよ。なんで黙ってたの?」


「それは……、ほら、私ってさ、必死な姿を人に見せたくない、みたいなところあるじゃん?」


「確かにそうだよな?」


 お父さんがすかさず相槌を打ってくれたんだけど……


「そんなわけないじゃん」


 今まで知らん顔で箸を動かしていた沙織が、ボソリとそう呟いた。


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