あの頃、テレフォンボックスで
大事なもの
あの日は・・・

あの日はケイタに別れを言うつもりで
でかけたはずだった。


ケイタの人生に
私の人生を
重ねることはできない、と。


なのに、ケイタは
そんな想いなど
一瞬にして吹き飛ばしてしまった。

強い力で。

熱い気持ちで。



あの日までなら、
「楽しかった」と笑って、

二度と会うことがなくても
いつかは忘れられると思っていたのに。



今は、ケイタのことが
欲しくて欲しくてたまらない。



ケイタに傍にいてほしい。

私を抱きしめていてほしい。

どんどん欲張りになっていって
私は嫌な女だ。


話すだけじゃ、
見つめるだけじゃ、
抱きしめてキスするだけじゃ、

本当のあなたには
触れられない。


大好きで
会いたくてたまらなくて
抱きしめたあなたの

その先にあるもの。



それを、


見たくなる。

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