あの頃、テレフォンボックスで
私が未来ぐらいの頃・・・・

・・・昔を語るのは、
年をとったという証拠ね。

自分で苦笑しながら、
瞳子は考える。


私が未来ぐらいの頃は、
もちろん携帯電話なんてなかった。

電話は一家に一台。

気になる男の子からの電話を、
タイミング悪く親がとったときには、
一日中ブルーになったものだ。

運よく自分が電話に出たとしても、
たいていはリビングルームに
置いてある電話なので、
親が聞き耳をたてている中で
コソコソ話さなければならない。


子機のある電話が世の中にでたとき、
世紀の大発明かと思った。



それでも、電話を待つのはつらい。

そんなときは
気にしても仕方がないように、
出かけてしまう。


そして、
大事な電話を逃してしまったんじゃないかと
思い直して
慌てて、家に帰る。




・・・・・結局、

待つのがつらいのは、今も昔も一緒ってことね。
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