あの頃、テレフォンボックスで
「だって・・・・

電話をもらったときに・・・・
夫が帰ってるって言ったっきり
メールも電話もしなかったから・・・」


それに、ケイタくんも連絡くれなかったし・・・
言いかけてその言葉を飲み込む。


ケイタくんが連絡をくれないからって、
私がなにかを言える筋合いじゃない。



「俺がもし
いつもみたいにメールしたり、
電話したりしたら
トーコさん、困っただろ?

コソコソ隠れて
返事してたかもしれないし、

ダンナさんに嘘ついてたかもしれない。


俺、
そんなふうにトーコさんに
嘘ついてほしくなくて。



それで、連絡しなかった。



・・・・・・ごめん。」



あぁ、
この人は・・・・・


私の目の前にいるこの人は、
未来の先輩じゃなくて、

17才の高校生じゃなくて、


立派な男だ。


私の胸を
こんなにも震わせて
涙ぐむほど愛しいと思わせる


一人の男・・・・・・。




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