わたしは女の子になる。

外に出ると、辺りはもう暗くなっていた。
彼が、自転車を置いたところから、私の自転車を出してくれた。

道路まで出てからちょっと歩いて、彼が見送ってくれる。


「……送ってってくれないの?」


彼を見上げて言う。


「家の鍵持ってなくて閉めれないからなぁ……じゃあ、あそこの信号までね」


私の言葉を聞いた彼は、ちょっと困ったように笑って、100mくらい先の信号を指してそう言った。

家の電気もつけっぱなしな気もするけど。


ちょっと申し訳なく思いつつも、わざといつもよりゆっくり歩いて、少しでも彼といる時間を伸ばそうとした。


「急がないと、信号、赤になっちゃいますけど」

「むしろなってほしいね!」


冗談交じりに言う。

信号待ちの1分でさえも、今は愛おしい。



だけど、そんな私の姑息な試みも虚しく、赤になった信号は、再び青になってしまう。


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