雪が降る町~追憶のletter~
晶は薄く敷かれたばかりの雪の絨毯の庭を見つめてそう呟いた。

快斗はそんな晶を見て、暫く黙っていたが、ひとつ溜め息をついて呆れたように答えた。


「辿り着いたって、自分の望んでる結末になるかどうかはわからないのに」


そうだよ。
わかってるよ。
別にその人とどうにかなりたいって本気で思っている訳じゃない。

だけど、本当にうれしかったの。

あの手紙を読んだ時―――

からかわれたなんて一度も疑う余地もなかった。
その位、あの一通に、ひとつひとつの文字に想いが込められていた。

私はそう感じて、信じて、止まない。


「望んでることなんて別にないんだよ」
「え?」
「ただ、一目会って、言いたいだけ」
「―――何を···」


快斗の疑問には笑顔で返すだけの晶は、目の前の白い道に足あとをつけながら玄関へと向かった。


「じゃあね」


快斗はその足あとと玄関のライトのぼんやりとした灯りをただ見つめていた。
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