雪が降る町~追憶のletter~

「それじゃ、佐野さん気をつけて」
「あ・・・・」
「ん?」
「いえ、また、明日」


飲み屋がたくさんあるこの通りでタクシーを捕まえることは困難なことではなく、すぐにタクシーに佐野を乗せると快斗は見送ってくるりと振り向いた。

その時に初めて一部始終を見ていた晶と真田に気が付き目が合った。


「どうも、奇遇ですね」
「ああ、本当ですね」


先に声を掛けたのは真田だ。
快斗は一瞬驚いた顔をしていたが、すぐにそれを取り繕ってなんでもなかったかのように振舞う。


「今日は飲み会か何か?」


快斗は社交辞令的な挨拶でそう聞いただけだった。


「気になりますか?」

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