雪が降る町~追憶のletter~

「俺、丁度バスいい時間なんで失礼します!」
「付き合いワリぃな~桜井は!」
「本当に悪かったら今ここにいませんよ!」


―――そんなにこの町って狭いだろうか?


晶がそう思ってしまうのも無理はない。

目の前にまたしても、アイツがいるのだから―――。


「佐野さんはタクシーで帰んなよ」
「桜井送ってけば?」
「いやいやいや、逆方向の人間がなんで・・・」

「あ。大丈夫ですから私は」


見たところ会社の上司や先輩2人とこの前一緒だった佐野美久が快斗と一緒に店先に立って話ていた。


「お疲れ!」
「明日な。じゃあタクシー位一緒に拾ってやれ!」
「わかりましたよ」


そして年配2人の人たちは楽しげに歩いて行ってしまうところを見ると2件目にでもいくつもりなのだろう。
残された快斗と佐野はタクシーを捕まえようとしていた。






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