雪が降る町~追憶のletter~

「なに?これ··」


快斗の差し出していた手には黒い箱が乗っかっていて、どうやらそれを渡すために呼びだしたようだ。


「なんとなく、やる」


ぽつりとそう言う快斗の手から晶はその箱を受け取った。
丁度、テレビなんかで見る、指輪の贈り物のような箱を晶は不思議そうに回し見た。


「開けていいの?」
「ああ」


寒さのせいか、快斗は両腕を組むようにしてバルコニーの柵に背を向けてもたれかかった。
晶は指先だけ出した手元でその箱の中身を確認してみる。


(誕生日じゃないし、クリスマスもまだ先···
じゃあこれはなんのプレゼントなんだろう?そもそもプレゼントなのかな)

簡単に開いた箱の中を見て晶が明るい声を上げた。


「わ!なに?これ!!」

< 136 / 218 >

この作品をシェア

pagetop