雪が降る町~追憶のletter~
最終章

1.雪のギフト

そんな一人の世界に、急に電子音が鳴り響いて晶を現実へと引きもどした。

その音は手の中の携帯電話から鳴っていて、真田への返信の途中だったということに気が付くが、着信中の為にその続きをうつことはできない。

そして、その着信が快斗だとディスプレイに表示されているのだから心臓に悪い。


(なに、このタイミングって!)


「···はい?」
『おお、ちょっと隣』
「えっ、ちょ···」


相変わらず愛想のない電話。
大体何か用事があるのならさっき一緒に帰ってきたときに言えばいいのに。と晶は思うが、逆にさっき言えなかったようなことなのかと変な緊張をしながら薄手のジャンパーを羽織り、いつものバルコニーへ出た。


「おう」
「おう···なに?」
「いや、ちょっと···」
「?」


珍しく歯切れの悪いものいいの快斗を不思議に思って近づいて行くと、快斗が晶に手を差し出した。
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