雪が降る町~追憶のletter~
「だっ…ダイ…!!」
「ん?」
俺は握りしめていた拳から視線を上げてダイを見た。
「今日……一緒に忘年会を…しない?」
「忘年会ぃ?」
「せっかく会えたんだし!晶もいるから…!」
「晶ちゃん?」
ダイを巻き込んで晶の元へと行けば、深く何かを問われる前にそのままうまくやり過ごせそう…そんなことを思いついて俺は言った。
「相変わらずお前ら仲いーんだなぁ!」
「…いや、フツウだよ」
「ふぅん?ああ、でも悪い!オレダチと先約あるからよ〜…ほんとついさっき誘われちまって」
「………そ、っか…」
最後の望みの綱のダイもダメか―――。
俺はそれからダイとすぐに別れて一度帰宅した。
時刻は午後6時。
外は既に真っ暗。そして隣の窓からはまだ灯りが漏れていた。
晶はまだ、いる。
そう思いながら暫く窓際に立っていると、ふっと晶の部屋の電気が消えた。
俺は罪悪感に苛まれながらコートを手に取り、階段を駆け降りた。
「快斗?どこ行くの?」
「―――ちょっと、友達に会いに」
「今から?ま、男だからいいか。飲酒に喫煙はダメだからね!」
「しねーよ!」
出掛けに母さんに捕まってしまった俺は慌てて靴を履いて玄関を開ける。
きょろきょろとあたりを見てみたが晶の姿は見えない。
さくっ…さくっ…とまた新しく積もった雪に足を埋めながら敷地を出る。
すると、晶のものであろう、新しい足あとを見つけて俺はそれを辿って行った。