雪が降る町~追憶のletter~
俺達の家から待ち合わせ場所の大通公園はバスなら一本で行ける。
でも、晶と鉢合わせしてしまうから俺は敢えて遠回りの地下鉄を選んだ。
到着時間は恐らく晶の方が早いだろうが、手紙の待ち合わせ時間には余裕で間に合う。
俺はキリキリと痛む胃を抑えながら地下鉄に揺られ、公園に着いた。
噴水広場と言えば、この辺り。
その広場全体が見えそうな位置に俺は身を隠す様にしてから晶の姿を探す。
―――いた。
暗くて見つけられないかも、と思ったが、今日は大晦日。
カウントダウンも控えているこのスポットは、平日には見られないほどの灯りで包まれていて、そんな心配は無用だったと気付いた。
近くのテレビ塔を見上げると、時刻は午後6時50分。
俺は白い息を吐きながら、食い入るように晶の姿を見ていた。
晶はいつもの白いマフラーをぐるぐると巻いていて、それを時折鼻まで隠す様に引っ張り上げていた。
たまに辺りをきょろきょろとしたり、軽く体を揺らしたりしながら待つ姿が見える。
そんな晶を見ると、今度は胃じゃなくて、胸が締め付けられる感覚に襲われた。
晶―――――…。