雪が降る町~追憶のletter~
「はいはい、ごちそうさま」
晶は呆れたように笑ってそういうと着替えを済ませて更衣室を出た。
「ね、晶はいいなーって人いないの?」
「さー・・どうかな」
晶を追いかけるようにしてありさが肩に両手を乗せてニヤニヤとした顔で問う。
それをいつものことと、動揺せずに切り返す晶。
ちぇっ。と子どものように残念がるありさを横目に晶は羨ましく思った。
彼氏・・・
“彼氏”が欲しいわけじゃない。
でも、ちょっとだけ、そんな風にいつもよりも早くに出社してるのに幸せそうににこにこ笑う友人を見るとやっぱりいいなぁって思ったりもする。
きっと恋がしたいのかな。
純粋な、ただ想って、胸を焦がす。
(いい歳して何考えてんだか)
自分で自分に冷ややかな突っ込みをして晶はデスクについた。