雪が降る町~追憶のletter~

「オレ、なんか昔結城さんとどっかで会った気がして」


急に真田が言ったことは、そのへんの軽いナンパのような台詞で晶は顔を上げて目を丸くして真田を見た。


「あ、嘘じゃないよ!」
「あ、いえ…そんな風には…」


真田も珍しく慌てて付け足して言ったが、自分が“ナンパのようだ”と思ってしまったことがばれてしまったのかと晶も慌てた。


「なんか、結城さんのそのマフラー姿がね。どっかで…」
「でもこのマフラーは今年かったものですよ?」


真田がハンガーに掛けてあるマフラーを見て、晶もそちらを見て答えると、うーん。と首を捻る真田の後ろから店員がボウル型の白い器とサフランライスの乗った平たいお皿を持ってやってきた。


一度休憩、と2人は運ばれてきたスープカレーに向き合った。


< 73 / 218 >

この作品をシェア

pagetop