雪が降る町~追憶のletter~


そのまま先程の会話は続きをすることなく、2人は店を出た後はブラブラと街中を歩いていた。

時間が夕方を過ぎてすっかり外が暗くなった頃、『そろそろ』と晶が切り出すと真田がいつものバス停まで送りに来てくれた。

土曜日のまだ早い時間だと、バスを待つ客が他にいなくてそこで経って待つのは晶と真田の2人だけだった。


(···バス、まだかな)


あれだけさっきまでは他愛ない話をしていたのに寒さのせいか会話がなくなっていた。
それは晶にとって変な緊張にもなってしまって余計に時計を気にしてしまうのだった。


(快斗はまだ仕事かな)


ふとそんなことを思ったのはこのバス停だから。
まだ数回しか一緒になったことはない筈なのになぜか晶の中で快斗の存在はどこにでもある。



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