雪が降る町~追憶のletter~
晶と大地が向かい合うテーブルの横まで歩いてきた快斗は、晶の存在を確認して文字通り体が固まった。


「あ、晶ちゃん!偶然近くであったから!」


大地は何も勘づくことなく相変わらずニカッと笑って快斗に言うと、座れ座れと快斗を自分の横の席に引っ張った。

向かいあって目が合う。


「・・・・」
「・・・・・」


今一番近くにいて、一番会いたくなかった人。

(きっと快斗もそんな風に思ってる)

思えばさっきの電話で自分の名前なんか出していなかったな、と今更ながら晶は気が付く。

大地はそんな気まずい雰囲気を感じることなく快斗に飲み物を注文させていた。

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