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「飲めっ」
「もっと行け!」

 先輩達の酒乱ぶりに慣れている私達後輩組は、酒に飲まれないように、飲んでいた。
 と、私は隣の友人の飲みっぷりに気づく。

「ひゅかも、あんまり飲みすぎないでね」
「うい」

 ひゅかも、放っておくと、ちょっと危ない。
 酔うと説教しだすから、たちが悪い。
 その時、ひゅかの携帯が鳴った。
 ひゅかがのろりとした動作で電話に応える。

「あい、もしもし」
『くぉら、由華。いつまで飲んでる』
「げ、お兄ちゃん」

 どうやら、ひゅかのお兄さんらしい。
 怒っているのか、隣にいる私にまで声がもれ聞こえる。
 ひゅかの酔いが一気に冷めたようだ。

『げ、じゃない。全く。今どこだ。迎えに行くから』
「え~っ、来なくて良い!」
『来なくて良いじゃない』
「シスコンはキモいよ」
『シスコン言うな阿呆』
「ん~、今駅裏の方にいる」
『十分で迎えに行くから、駅前で待ってろ』

 電話が切れて、ひゅかがむくれたような顔になる。

「このシスコン兄貴め」
「愛されている証拠じゃない」

 私は一人っ子だから、そんなひゅかが羨ましい。
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