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「あっれぇ、ひゅかちゃん、帰っちゃうの~」
「はい~。ごめんなさい、シスコン兄貴が迎えに来るって」
「ははは、ひゅかちゃんのお兄ちゃん、シスコンなんだー。意外~っ!」

 ひゅかが先輩に先に帰ることを伝える。

〝ん、ひゅかが帰るなら……〟

「先輩、私もそろそろ帰ります。ひゅかも帰るんなら」

 その言葉を聞いた陣が、腰を上げた。

「みあ、送ってくよ、遅いんだから」

 その言葉に、すっかり出来上がった先輩達は、色めきたった。

「おっと、陣、途中でみあちゃん襲うなよ!」
「なんだかんだ、仲良いよな、お二人さん」
「いつからデキてんだ、こいつめっ」
「どこまでいってんの?」
「ちょっと、先輩達、飲みすぎ」

 酔っ払った先輩達にからかわれて言い返している私の腕を、陣がつかんだときは、心臓が飛び出るくらい驚いて、酔いが一気に冷めた。

「じゃ、ひゅかも行くぞ」
「うぅ~。先輩達、また誘ってくださいねぇ」

 陣が歩き出す。私は、陣に引かれるように歩き出した。ひゅかもてくてくとその後に続いた。
 駅前でひゅかに付き添っていると、バイクが私達の前に止まった。黒尽くめのドライバーが、ヘルメットを脱ぐ。

「こら、由華っ」

 私も陣も、目が点。
 大きなバイクにまたがって、髪の毛を逆立たせて、まるでライオンのようなこの人が、ひゅかのお兄さんらしい。

「兄貴、うるさいよ」
「ちっ、口の減らない」

 と、お兄さんは、私達に気づいた。
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