やさしさの欠片
独りよがりな…
「ねぇねぇ、これ可愛いでしょ?」

ぜんぜん好みじゃないけど。。。
嬉しそうにする彼女を見ていると、違うとは言えない。
「あなたのも買ってきたの」

この一言で、心の中に毒が分泌される。
これって趣味じゃないんだけどなぁ……。
 気が利くのはうれしいけど、困っちゃうな。

「あれ?うれしくない?」
「ん…そんなことない。ありがとう」
カバンにしまおうとすると
「ねぇそれ付けないの?」

くぅ・・・スルーできなかった。

「すぐ汚れちゃうジャン」
「ありがとう、大事にしてね」

チクン……

どこかに、棘が刺さった。

「ごめん。本当はこういうの好きじゃないの」
小さな声で呟くと、彼女はこう言った。
「好みって違うもんね。
 ごめんね、もう少し考えなきゃね」

そうじゃないの……。

「私の好み少しずれてるから、ごめんね」

今まで貰ったチープトイは、全部袋に入れてしまいこんでいた自分が
情けなかっただけ……。

チクリ……。
自分できちんと言い出せなかった弱さがいけないだけ。
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