急性大好き症候群
14.恋い焦がれ
高校を卒業して、すっかり忘れていたいつかの弘樹の言葉をようやく思い出した。


めんどくさいってこういうことか。


弘樹が精神おかしくなったってこういうことか。


あたしも精神おかしくなるはずだ。


太一を見ていると、こっちまでおかしくなってくる。


一緒に地獄まで落ちてしまおうかなんて思ってしまう。


弘樹も麻尋ちゃんを抱いたときそう思ったのかな。


「俺よりも弘樹の方が感じるって、どういうことだよ……」


太一は譫言のように呟いていた。


その目には涙はもうない。


代わりに怒りにも似た悲しみが瞳に写っていた。


「俺が下手だっての? 腹立つ……まじ、なんなの……」


太一の指があたしの肌に触れる。あたしはその度に声を上げていた。


「太一……もう…………っ」

「こんなふうに、どうせあいつに抱かれたときもこうやって喘いでたんだろ…………なんで、なんで」


太一はあたしのことなんて見ていない。


麻尋ちゃんと重ねるためにあたしを抱く。


そして、あたしは毎回意識を飛ばす。


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