急性大好き症候群
あたしが太一に初めて抱かれてから既に二年が経っていた。


あたし達は何一つ変わっていなかった。


あたしは専門学校の卒業間近で、既に保育士の資格を取って四月から保育園に勤務することが決まった。


太一は今年受験生で、私大に行くことが決まった。


それでも、あたし達の関係は変わらなかった。


驚くことに、あの後すぐ太一と麻尋ちゃんは別れた。でもその半年後ヨリを戻した。


俺達、やっぱり一緒じゃないとダメみたいと太一は笑っていた。


弘樹はあの時の一度きりの関係で、太一と麻尋ちゃんはヨリを戻してからセックスフルらしいけど、麻尋ちゃんはまだ少し無理をしているらしく、いまだに太一はあたしを抱く。


そして、太一は弘樹と麻尋ちゃんのことをいまだに引きずっている。


それはあたしを抱くときに顕著になり、太一はあたしを麻尋ちゃんに重ねている。


あたしは麻尋ちゃんじゃないと何度言いそうになったか。


あたしは太一の傍にいれればそれでよかった。


いつかは……なんてありえない願いを抱えながら。


でも、それももう限界だった。


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